楠原行政書士事務所

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(不動産の合意価格)
 
 遺産分割における相続財産としての不動産の評価は、換金価値になると考えられます。その場合に不動産評価をどのようにするかというのは非常に難しい問題です。共有登記するならまだしも、複数の相続人がいて一人が所有し他の相続人に代償金を支払うといった場合には、相続人の間でその物件をいくらにするか、決めなくてはなりません(価格の合意)。
 
 あくまで相続人間で決めるものなので、行政書士は考えのもととなる資料は呈示いたしますが、実際には相続人間で話し合いで決めることとなります。
 
 以下に、実際の事例のレポートの例を乗せてみます。
 
(レポートの例) 
 
遺産分割時における不動産の財産評価について
 
①相続税評価
相続税の評価基準となる評価額は本件の場合
土地 6,000,000円×1.1倍※=6,600,000円
建物1  150,000円(固定資産税評価額そのまま)
建物2 4,000,000円(固定資産税評価額そのまま)
合計 10,750,000円
※(A税務署 平成21年分倍率表より)となります。
 
②固定資産評価額との関係
固定資産税評価額は、土地の場合一般的に公示地価の70%程度で評価され、建物は「単位当り再建築費評点×経年(損耗)減点補正率×床面積×評点一点当りの価額」で決められています。この「経年(損耗)減点補正率」を除く価額は大体新築価格の5~6割といわれています。
土地の固定資産税評価額を70%で割戻し、建物2のみの固定資産税評価額を0.6で割り戻すと以下のようになります(昭和19年に建てられた木造家屋は資産価値がないと考えられ、評価から除いてあります。)。
土地 6,000,000円÷0.7=8,571,429円
建物 4,000,000÷0.6=6,666,667円
合計 15,238,095円
 
③近隣の売買事例
インターネットの検索による直近の売買事例は以下の通りです。
 価格 住所 築年数 
 ア 1,500万円 北海道A郡B町C  築10年 建物 184.67㎡ 55.86坪 土地 477㎡ 144.29坪
 イ 1,490万円 北海道A郡B町D   築5年   建物 119.78㎡ 36.26坪 土地 297.07㎡ 89.86坪
 ウ 1,440万円 北海道A郡B町E   築9年   建物 125.44㎡ 37.95坪 土地 255.99㎡ 77.44坪
 エ 1,180万円 北海道A郡B町F  築14年  建物 100.64㎡ 30.44坪 土地 247.93㎡ 75.00坪
 オ    750万円 北海道A郡B町G  築14年  建物 112.61㎡ 34.06坪   土地 305.53㎡ 92.42坪
本件は土地の面積ではアに、建物の面積と築年数(現在築8年)ではウと近いようです。
ただし、最近の景況感の悪化などを考慮して、若干の減価を考える必要があります。
 
④建物1について
 建物1については、築後60年を経過しており資産価値がないと考えられますので上記 ②③ の評価からは除いてあります。現況を確認しておりませんので正確なことは言えませんが、実際に売却を検討するとき本木造家屋を解体する必要があるかも知れません。その場合解体費用が100~200万程度発生します。
 
⑤合意価格について
 本件不動産について、相続人各人が法定持分により共有する場合には本件不動産評価額について考慮する必要はありませんが、共同相続人のうち1人の者が本件不動産を相続し他のものに代償金を支払うといった場合には、本件不動産の評価額について共同相続人間において価格に関する合意をする必要があります。その際には相続人が支払う不動産取得の費用(登録免許税固定資産評価額10,150,000円×4/1000=40,600円 登記手数料3~5万円程度)、場合によっては解体費用を考慮する必要があります。
 合意価格については特に法律上の決まりがあるわけではありませんが、あまり実態とかけ離れた場合には、税務上問題が生じる場合もあります(たとえばあまりにも高額の評価をして、代償金を支払うなどの場合には当該代償金が贈与と取られる可能性もあります)。上記を参考に合理的な範囲内で価格を決めていただく必要があります。
 
 なお本稿については不動産評価の考え方の概略を示したものであり、価額について鑑定を行うものではありません。不動産鑑定価額をお知りになりたい場合には、不動産鑑定士による鑑定評価をお薦めします。